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スガシカオ「ドキドキしちゃう」 ~刺さった音楽への考察 vol.1~

毎日の習慣のようになっていたゲーム生活から綺麗サッパリ足を洗って、元来が無趣味なので他にやることも特になく、要するに超絶暇人に。(本来の姿に戻っただけ)
これじゃなんだかなぁ、ってことで「今後何しようか」とボンヤリしながら、通勤中の車のナビの「◀▶」をピピピと左右にスライドさせ、BGMを適当に変えてみた。

これが、なんだかすごく良かった。
ピーン!と来たので、「そうだ、これから音楽生活をしよう」と急に思い立ち、週末には新しいウォークマンを買いに。
その足でさらにTSUTAYAへ。これでもか、っつーくらいCDを借りまくる。


借りるのは、ほぼ邦楽。
しかもどれもこれも10年~20年近くも昔の。
最近の音楽なんて分からないし、そもそも興味もないし。

CDが一番売れていた頃の音楽がやっぱり洗練されていて、質が良い。


昔から、邦楽しか聴かない。
歌詞を読みたい派なのだ。
洋楽の歌詞カードを見て、英語で書かれた歌詞を脳内で日本語に変換して解釈しながら、あれ分かんない単語あるなぁ、なんだこれどんな意味だ?
とかやるのが、まどろっこしくてしょうがない。イライラしてしまう。

歌詞なんか気にしなくてもいいじゃん、音だけ聴いてりゃさ。
洋楽なんて雰囲気よ雰囲気、とそういう意見も聞くのだが、なんかそういうのって駄目な人種なのだ。
どうしても追求したい。理由とか背景とか心情とか、推察したり深読みしたりしたいの。そういうタイプなのよ…。

あとは「洋楽好きで洋楽しか聴かなくて洋楽に詳しい俺ってカッケーーー!!」みたいな輩が嫌い、という理由もある。

洋楽の中で好きだなと思って聴くのは、BEATLESQUEENCarpentersくらい。
ドラマでも使われたりして、THE・日本人には馴染みの深い方々ですねw
いいさ、洋楽全然詳しくもないし詳しくなろうとも思わないから。


最近こうして借りまくっている数々のCDの中から、はたまた過去に自分で入手済みのアルバム等の中から、
「これは!!」とピーンと来た曲、刺さった曲、ビビッと感じたイントロや印象に残ったメロディー、
刺さるほどではなくともな~~んか心のフックに引っかかった歌詞、
そんな音楽たちについて、「なぜこの曲は自分に引っかかる突起を持っていたのかな?」とか紐解いてみようかなぁという試み。

自分勝手な解釈と視点なんで、間違ってたり思い込みだったり勘違いだらけかもですが、90年代~2000年代初頭の頃の邦楽を懐かしく振り返る雰囲気でご覧いただければ。



早速の第1回目は、

スガシカオ

ドキドキしちゃう

1997年7月30日発売、3rdシングル。
1997年9月3日発売の1stアルバム「Clover」に収録。


冒頭の、「車のBGMでピーン!と来た曲」である。

家族がナビに入れていたスガシカオのベストアルバムの中の1曲だった。
ここからスガシカオにどハマりして、しばらく彼の曲ばかりをずっと聴いていた。


スガシカオは、元々割りと好きな部類の音楽であった。
彼がブレイクしていた頃のアルバム「Sweet」は持っていたし。

でもなぜだろうか、持っていたアルバムはこの1枚だけである。


シカオ好きな友人の付き添いで、彼のコンサートツアーに行ったことが一度だけある。
「Sweet」の次のアルバムだったかな。そのさらに次のアルバムだったかな。
とにかく何か新譜がリリースされた頃。

自分の中でのスガシカオに関する知識は「Sweet」の収録曲と、CMなどテレビのタイアップ曲くらいしかなかったもので、ツアーに同行したところで「あ、これ聞いたことある!」と色めき立ったのはセットリストの中のほんの数曲だけであった。


そんな中、イントロが流れた途端に会場が「キャーーーッ!!」の声援で埋め尽くされ、横にいた友人が「この曲大好き!!」と満面の笑みを私に向けながら紹介してくれた一曲。
それが、この「ドキドキしちゃう」であった。
(タイトルが印象的だったので、もうずいぶん昔のことなのにこうしてしっかりと覚えている)

この曲をまともに聴いたのは、このコンサートツアーでの視聴がおそらく初。
「あ、なんかサビ聞いたことあるなぁ」
とか思いながら聴いていた記憶がある。(CMタイアップだったらしい)


でも当時の印象は、それだけ。
「聞いたことあるな」
「シングルだったんだ、ふぅん」
それ以上の感想は、特に何も持たなかった。


なぜ、当時そんな風にしか感じなかったその曲が、今になって耳に突き刺さったのだろうか?


印象的なイントロ。
半拍遅れで入ってくる、独特なメロディー。

決して明るくはない。
なんだか少し意味ありげな空気を漂わせながら、そこにスガシカオの鬱屈したような、物憂げな、あの妖しい声のボーカルが載る。

ぼくらが確かに いまいい大人になったからって
全ての事を 許したとでも思っているのかい
あの時のイタミ あの言葉の意味
いまでもドキドキしちゃう


スガシカオの歌詞の世界に感じられるのは、「執着」だ。
過去への執着。相手への執着。自分自身への執着。

あの時も ぼくはほんの少し考えていたんだ
君に好かれるためには どうすればいいのかって
コビをうりまくって やさしい人になって
いまでもドキドキしちゃう


ただのストーカー男の話、という訳ではない。
彼のストーリーの世界に登場する主人公達は、自分がどんなに無力でどうしようもなくて駄目な奴であるかについて、嫌というほど知り尽くしている。
自分に絶望したり、色々な希望を捨て去りもう諦め切った後だったり、相手にも何も望まず期待もしない、そんな厭世的な姿勢だったりする。

でも、それでも決して「ただのネクラ男」の話では終わらない。


カッコ悪くたって、ダサくたって、どうしようもなくたって。
こんなちっぽけなことでクヨクヨ悩む自分だとしたって。

それでもいいじゃん。
だってどうしようもないじゃん。
そんなもんじゃん、人間。

自分はこんな自分であり続けることを、隠すことも変えることもできないし。
隠そうとしたところで、変えてみたところで、それが果たして本当に正解なのか?

だったらこのままだ。
これが、この姿が自分自身だ。


そんな声が背景から聞こえてきそうな、そんな歌詞を彼はいつも書く。

強烈なポップさを携えたサビは非常に軽快だ。
そんな中、印象的なあのイントロと同じフレーズが曲の随所に挿入される。
そのフレーズをどこかで心待ちにしながら曲を聴き進めていくと、主人公の今後の動向がどうしても気になって、スガシカオが表現しようとした歌詞の本当の意味について考えながら聴き入ってしまう。

時がたって 記憶なんて 心のなかでとけてしまえばいい
ぼくにとって 君にとって 新しい日々だけがくればいいのに


時間の経過とともに忘れ去ることができたらどんなに幸せか、
そんな風に、半ば恨めしくも感じられる過去の記憶たち。
新しい日々だけ、これから訪れるであろう先のことだけ。
その事だけを考えながら、希望だけを持ちながら生きていければいいのに。
既に終わった出来事を再び思い出して悔やむ必要などない、そんな世界でずっと生きていければいいのに。

どんな人にだって、そんな風に感じる経験が一つや二つ、必ずあるはず。
ヒット作の共通項の一つ、「共感」。


車でこの曲が流れた時にピーンと来た理由がなんとなく分かった。
シカオ好きな友人に同行したコンサートツアー、あの当時には経験していなかったことを、今ではもう経験していたからだ。

ある意味では私も「いい大人になった」、のかもしれないね…。


建て前のような取り繕った言葉ばかりが並ぶのではない、憂いと陰を含んだ、本音の言葉。
彼の描き出すそんな世界が、ファンを惹き付けてやまないのだろうと思う。




今回のアルバム

CLOVER

CLOVER

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